幻鉄RAMBLER

~ 未成線・廃線跡・海外鉄道リポート ~

【未成線】東西線「駅カラー」未使用色が意味するもの(京都)

~ 垣間見える幻の未開業駅の光景 ~

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京都市内の東西と東部の郊外を結ぶ、市営地下鉄東西線

山科から六地蔵にかけての住宅地および、観光地・東山地区や市内中心部の御池通りをカバーする重要な交通機関として、日々、多くの人に利用されている。

 

この路線の計画段階での原型は、市内の御池通りを基軸に、東は山科・醍醐地区、西は洛西・長岡京方面を結ぶもので、当初から逆U字型のルートが想定されていた。

そのうち、公共交通が乏しく、渋滞が深刻化していた山科・醍醐地区を結ぶルートから早急に着手される事になった。醍醐~二条間の方が先に開業したのはこのためである。

 

その後、醍醐~六地蔵間が延伸開業し、二条~太秦天神川間も延伸され、「いずれは洛西方面へも必ず到達させる」とは言われていたが、かねてから知られている通り、文化財の発掘調査等で高騰した建設費が仇となって、深刻な赤字に陥り、地下鉄を運営する京都市交通局は、財政破綻の一歩手前である「経営健全化団体」として、その業績を改善しなければならなくなった。

そのため、洛西方面への延伸は、事実上目処が立たなくなってしまっているのが現状である。

 

今回のトピックは、そんな東西線の洛西延伸計画を、各駅で採用されている「駅カラー」の観点から見てみようというものだ。

 

延伸計画と「駅カラー」の相関 ★

そもそも東西線の洛西延伸計画とはどのようなものか? そして、東西線各駅で採用されている「駅カラー」とはどのようなものなのか? 少し詳しく見ながら、今回のトピックの核心に迫っていきたい。

 

近畿地方交通審議会 答申第8号(2004. 10. 8 国土交通省)によれば、延伸区間は(太秦)天神川から梅津、上桂付近を経由し洛西に至るもの(7.7km)とされている。その大まかなルートは下図の通りである。

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先にも述べたように、この計画ルートは東西線計画の原型となる段階から存在し、また上記答申でも「中長期的に望まれる鉄道ネットワークを構成する新たな路線」として位置づけられている。

洛西ニュータウンの多くの住民が、この計画を当て込んで入居した、という話もよく知られている事である。)

 

なお、洛西からさらに先、長岡京方面への延伸計画については、上記答申では(太秦)天神川~洛西間とは実質的に切り離されており、事実上副次的な扱いに留まっている。

 

これらの事を踏まえた上で、東西線の「駅カラー」について見てみよう。

東西線は各駅に色が付けられているが、実はこれらは、ある一定のルールに基づいて割り当てられている。下の図を見て頂きたい。

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これら「駅カラー」は、駅ごとに異なっており、またその移り変わりは、ほぼグラデーションするように変化していくのである。

 

ここで、このカラーリングをよく見てみると…… 勘の良い人なら「ある事」に気が付くかもしれない。

 

・・・そう、東西線の「駅カラー」には、未だ「緑系の色」が使われていないのである。

 

では、なぜ緑系の色の駅が無いのか?

紛れもなく、最初に説明した事実と照らし合わせると、東西線未開業区間の駅で登場するものだから、と考えることが出来るだろう。

 

さらに、烏丸御池から太秦天神川までの「駅カラー」の推移に着目してみると、赤色→朱色→オレンジ→黄色→レモン色…と推移している。

 

そして、一般的な色法則(赤→橙→黄→黄緑→緑…、虹色の移り変わりと同じ)から考えてみると・・・

 

太秦天神川の次以降に来るであろう色は、「黄緑→緑…」ではないか?と、容易に予想することが出来る。

 

ゆえに、これらの事から、太秦天神川(駅番号T17、レモン色)の次に来るはずの未開業駅(T18、T19)の「駅カラー」は「黄緑、緑」であろうと見なし、未だ見ぬ未開業駅の「幻の光景」を容易に再現することが可能になる。

 

★ 幻の未開業駅を再現する ★

先にも書いたような経緯から、太秦天神川(T17、レモン色)の先に出来るであろう駅2つ分を、それぞれ「T18、黄緑色」および「T19、緑色」とし、実際に「幻の光景」を再現してみた。

 

なお、再現する駅をこの2つにしたのは、これらの駅カラーが最も容易に予測・再現しやすかったからである(後ほどまた詳細を述べる)。

 

まずは、未開業駅「T18から。

 

以下は(言うまでもないが)プラットフォームの光景である。

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黄緑色のホームドアに、黄緑色の柱……

一見どこかの駅にありそうな光景で、知らない人が見ればごく自然な駅風景であるが、このような駅はどこにも存在しない・・・

まさしく、本来存在すべきでありながら全くその姿が存在しない「幻の駅」の光景を見ていることになる。

 

そして以下は、線路内に取り付けられている、駅名標部分。

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先述の通り、洛西延伸線は梅津付近を経由するとあり、また梅津地区中心部は、太秦天神川駅から1駅分の距離であるということから、太秦天神川の次駅はこの辺りに出来るであろうと仮定し、駅名には「梅津」を当てはめておいた。

 

次に、未開業駅「T19

 

同様に、プラットフォームの光景を最初に示しておく。

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普通ならば姿や形が明確には分からないはずの、いわば「未成駅」とも呼べるものの光景を、これほどまでに鮮明に再現して見ることが出来るというのは、鉄道ファンにとっては興奮モノであろうが、何も知らない普通の人にこの写真を見せて「東西線にはこんな駅があるんですよ~」的なことを言っても、簡単に信じられてしまいそうな気がする(特に京都以外の人)。

 

そしてここも同様に、駅名標部分を。

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梅津から次の経由地である上桂付近までは、1駅分にしてはかなり距離がある。そのため、間に1駅分入れられるだけの距離である。

梅津と上桂の丁度間辺り…とくれば、上野橋南詰(上野橋バス停付近)が妥当な位置となる。

よって、この辺りに駅が出来るであろうと仮定し、駅名には「上野橋」を当てはめた。

なお、T19の次の駅(T20)は、上記の通りこの駅から丁度1駅分の距離の所が、上桂地区に該当するため、「上桂」としておいた。

 

ちなみに、未開業駅の再現をこの2駅だけにしておいた理由を換言するならば、東西線の「駅カラー」の遷移パターンは、必ずしも一般的な色法則には基づいていないため、T19→T20…の先の「黄緑→緑…」の次以降にどのような色が来るか、確たる予測をすることが必ずしも出来ないからである。

つまり、「黄緑→緑」の次は、例えば「深緑」が来るとも考えられるし、あるいは「緑と青の中間色」が来るとも考えられるし…などと、複数パターンが考えられるからである。

ゆえに、出来る限り個人的願望の混じった「予測」が独り歩きしてしまわないよう、予測・再現の範囲を2駅に留めておいた次第である。

 

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東西線の洛西延伸は、二条~太秦天神川の延伸開業の頃前後から既に怪しかったように思うが、京都市長が現在の市長になる前の市長の時、いつの日にかは必ず、地下鉄を洛西まで到達させる、と本人は強調していたように記憶している。

しかし、市長が変わり、京都市交通局は財政危機に陥り、経営健全化団体となり…といった流れを辿り、現在までに延伸計画がどのような状況になっているかは、既知の通りだろう。

 

仮に、将来洛西延伸が再び動き出したとしたら、工費節減のために地下線方式をやめ、太秦天神川~洛西間は高架線方式で造る・・・と、方針転換されるかもしれない。

しかし、現に計画は経営状況諸々で殆ど動いていない状況だし、そのような事は一切議論されていないはずなので、当然ながら実際にどうなるかは、まだ何とも言えない。

 

交通局が経営健全化団体を脱するにも一説には数十年かかるとも言われているし、現に洛西ニュータウンも人口流出が起きているとも言われる。実際、ニュータウン付近を走るバスを見てみると、普段は小型の車両に人はまばら。「こんな所に地下鉄造るとか京都市本気かよ!?」と、驚嘆の念を抱いてしまったものである。

 

これらのことから、東西線が洛西まで到達するという「夢」は、しばらく停滞のトンネルの出口は見えそうにない。下手すれば、ここで再現したような駅の光景は、本当の意味での「幻の光景」として永遠に見られなくなるかもしれない。東西線「駅カラー」で未だに使用されていない「緑系の色」は、単なる夢の跡を象徴するものとして「永久欠番」ならぬ「永久欠色」になってしまうかもしれない。

駅ナンバリングこそ、延伸計画の無い六地蔵をT01から始めて、太秦天神川をT17で終わらせていることから、延伸への姿勢はまだまだ失われていないようだが、果たして今後洛西進出がどうなるのか、大きな期待は出来ないまま、先は見通せないでいる。

 

(※未開業駅の再現コラージュ作成に当たっては、太秦天神川駅の光景を使用した)

 

★ 参考文献 ★

近畿地方交通審議会 答申第8号 付図2(2004. 10. 8 国土交通省) http://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/shingi/toshin/huzu.pdf#page=2

Wikipedia京都市営地下鉄東西線』 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%B8%82%E5%96%B6%E5%9C%B0%E4%B8%8B%E9%89%84%E6%9D%B1%E8%A5%BF%E7%B7%9A